「開業したものの…」サロンのお客様がリピートしない5つの理由|技術だけでは解決できない原因とは

セラピストのためのサロン経営とリピート設計

技術を学び、念願の自分のサロンを開業できた!

ところが、いざ始めてみると、

「新規のお客様は来てくれるけれど、なかなか続かない」
「施術には喜んでもらえているはずなのに、次の予約につながらない」
「もっと技術を学ばなければいけないのかな?」

そんな壁にぶつかるセラピストは少なくありません。

私自身も、23年前に福岡県北九州市でサロンを開業した時、まさに同じ壁にぶつかりました。

この記事では、23年を越えてサロンを続けてきた経験から、お客様がサロンをリピートしない5つの理由について考えていきます。

その中には、セラピスト側が見直すことで改善できるものもあれば、お客様自身の利用目的によるものもあります。
大切なのは、「リピートされなかった=技術が足りなかった」と考え、また新しい技術を探し続けることではありません。
お客様が何を感じ、何を求めてサロンに来ているのか
そこまで考えられるようになることが、長く選ばれるサロンづくりにつながると私は考えています。

夢を叶えて開業した私がぶつかったサロン経営の壁

私がBERILUを開業したのは、2003年です。
きっかけとなったのは、第二子出産後の自分自身の体調でした。
出産時に子宮頸管裂傷や子宮脱を経験し、その後、下半身のむくみや痛みに悩んでいた時期があります。

そんな時に一冊のセルフマッサージの本を手に取り、自分の体をケアするようになったことから、少しずつ自分の体に目を向けるようになりました。
「体に触れ、ケアすることでこんなに感じ方が変わるのなら、もっと多くの人に伝えたい」そう思ったことが、現在の仕事を始めるきっかけです。
その後エステスクールへ通い、技術や知識を学び、認定サロン・認定スクールとして開業しました。

ところが、実際に開業してみると、

という、サロン経営では欠かせない大きな壁にぶつかりました。

私が通ったスクールでは、施術に必要な技術や知識は学びましたが、

  • 「どうやってお客様に知ってもらうのか」
  • 「一度来てくださったお客様に、どうしたらまた来たいと思ってもらえるのか」
  • 「どうやって長くサロンを経営していくのか」

ということまでは教わっていなかったからです。
開業して初めて、技術を身につけることと、サロンを経営していくことは別の力が必要なのだと気づきました。

サロンは「開業すればお客様が来てくれる」仕事ではない

夢を持って技術を学んでいる時は、できることが増えていくので楽しいものです。ですが、資格を取得し、サロンを開けば自動的にお客様が来てくれるわけではありません。

今は個人で始められるエステサロン、リンパサロン、リラクゼーションサロンなども多く、お客様にはたくさんの選択肢があります。

その中からまず自分のサロンを知ってもらい、選んでもらう必要があります。

そして、もう一つ大切なのが、一度来てくださったお客様に「またここに来たい」と思ってもらうことです。
もちろん、新しいお客様に知っていただく「集客」も必要です。
しかし、せっかく来店していただいても、そのほとんどが一度きりで終わってしまえば、毎月ゼロに近い状態から新しいお客様を探し続けなければなりません。

反対に、定期的に通ってくださるお客様が少しずつ増えていけば、翌月の予約や売上の見通しも立ちやすくなります。

私自身、23年間サロンを続けてこられた一番大きな理由は、長く通ってくださるお客様に支えていただいてきたことだと思っています。

では、お客様がリピートしない時、どのような理由が考えられるのでしょうか。

サロンのお客様がリピートしない5つの理由

ここからは、23年間お客様と接してきた中で私が感じてきた理由を5つに分けて考えてみます。

最初の3つは、セラピスト側が見直せる部分です。一方、後半の2つはお客様自身のサロンの利用目的によるものなので、無理にリピートさせようとする必要はありません。

1.「行ったら余計に疲れた」と感じた

サロンは、施術だけを受けに来る場所ではありません。玄関を開けた瞬間から、お客様のサロン体験は始まっています。

セラピストの表情、声のトーン、話し方、室内の雰囲気、温度、香り、接し方。

こうした一つひとつがお客様の感じ方に影響します。

例えば、お客様が疲れて来店しているのに、セラピストが暗い表情で迎えたり、一方的にたくさん話したり、必要以上に気を使わせてしまったりすると、

「施術は悪くなかったけれど、なんだか疲れた」

という印象が残ることがあります。

反対に、

「ここに来るとホッとする」
「話していると元気になる」
「安心して任せられる」

と思ってもらえることも、次の来店につながる大切な要素です。
セラピストの仕事は、技術を提供するだけではありません。
お客様が安心して力を抜ける空間をつくることも、施術の一部だと私は考えています。

2.「もの足りなかった」と感じた

お客様の体は、一人ひとり違います。

同じ強さで触れても、「気持ちいい」と感じる方もいれば、「強い」「痛い」と感じる方もいます。さらに同じお客様でも、疲労の状態や体調によって、その日の感じ方は変わります。

だからこそBERILUでは、来店された時の表情や声のトーン、動き方、姿勢、むくみなど、まず見えるところから状態を確認します。

そしてカウンセリングで、

  • 「今日はどこがつらいのか」
  • 「最近どんな状態なのか」
  • 「いつ頃から気になっているのか」

などを聞きながら、お悩みと体の状態をつなげて考えていきます。さらに実際に体に触れながら状態を確認し、圧や触れる場所、施術内容を調整していきます。

私はこの一連の考え方をBODY SIGNメソッドと呼んでいます。BODY SIGNで大切にしているのは、決められた施術をそのまま行うことではありません。

お客様のお悩み × 体の状態を読み取り、その人に合わせて施術を組み立てることです。

毎回同じ順番、同じ圧、同じ時間配分で施術を行っていると、お客様のその日の状態によっては、

「今日はそこじゃなかった」
「ちゃんと見てもらえていない気がする」

と感じさせてしまう可能性があります。

わざわざ時間をつくって来店してくださり、施術後には「ありがとう」と言って料金を支払ってくださる。それは決して当たり前のことではありません。だからこそ、「今日、このお客様に何をして差し上げられるだろう?」という視点を持つことを、私はとても大切にしています。

3.「何が変わったのか分からなかった」

施術後、お客様自身が体の変化に気づいていないこともあります。特に施術中にぐっすり眠っていた場合などは、「気持ちよかった」という感想だけで終わってしまうこともあります。

せっかく一生懸命施術をしても、「気持ちよかったけれど、行って何が変わったのか分からない」という状態では、次に来る理由が分かりにくくなります。

ここで必要になるのが、説明する力です。

BERILUでは、来店時からお客様の状態を確認しながら、

「今日はここが気になりますね」
「前回と比べるとここが違いますね」

など、施術前にも体の状態を共有するようにしています。
そして施術中にも、実際に触れて分かったことをお伝えします。

施術後には、

「最初はこのような状態でしたが、今はここが変わっています」
「ご自身でも一度動かして確認してみてください」

というように、お客様自身にも確認していただきます。重要なのは、大げさに効果を伝えることではありません。

セラピストが何を見て、なぜこの施術を行い、施術後にどう感じたのかを分かりやすく伝えることです。技術がどれだけあっても、お客様に伝わらなければ、その価値は十分には伝わりません。

だから私は、長く選ばれるセラピストには、技術力だけでなく「説明力」も必要だと考えています。

4.お試し料金でいろいろなサロンを回りたい

ここからは、セラピスト側の問題とは限りません。

「いろいろなサロンに行ってみたい」
「初回のお試しメニューを利用しながら、自分に合うところを探したい」

というお客様も一定数いらっしゃいます。それはその方自身のサロンの楽しみ方なので、必要以上に気にすることはありません。

私自身もこれまで、「一つのサロンに決めたくない」と言っていろいろなところへ通っていた方が、実は自分に合うサロンを探していて、最終的に、「ここに決めた」と言ってくださった経験があります。
その時は、とても嬉しかったことを覚えています。

だから、一度目で次回予約につながらなかったからといって、

「何が悪かったんだろう」と必要以上に落ち込む必要はありません。

一度でも時間を使って会いに来てくださったお客様に、「今日ここに来てよかった」と思って帰っていただく。まずは、その一回を大切にすることだと思います。

5.「特別な時だけ利用したい」と考えている

「毎月通うつもりはないけれど、大切な時には利用したい」というお客様もいらっしゃいます。

BERILUでは、ブライダルのお客様にこのタイプの方が多くいらっしゃいました。結婚式という特別な日のために来店され、式が終われば来店頻度が減る。

これは当然のことです。

ですが、そこでしっかり喜んでいただけると、「結婚式前、どこに行った?」とお友達から聞かれた時にBERILUを紹介してくださることがあります。

広告を見た人ではなく、実際に利用したお客様から、「私はここに行ったよ」と紹介してもらえることは、サロンにとって非常にありがたいことです。

また、ブライダル終了後は来店頻度が減っても、その後も自分自身のケアとして定期的に通ってくださる方もいます。

すべてのお客様を「毎月来てもらうお客様」にする必要はありません。

  • 月に一回来る方。
  • 季節ごとに来る方。
  • 疲れた時に思い出してくださる方。
  • 大切なイベントの前に来る方。
  • 家族や友人を紹介してくださる方。

サロンとの付き合い方は人それぞれです。

だからこそ私は、リピートだけを目的にするのではなく、そのお客様が望んでいることに応え、「また必要になった時にはここに来たい」と思っていただける関係をつくることが大切だと考えています。

リピートされないからといって、新しい技術が必要とは限らない

サロンのお客様が続かない時、

  • 「私の技術が足りないのでは?」
  • 「もっと資格を取った方がいいのでは?」
  • 「新しい手技を習わなければ」

と考えてしまうセラピストは少なくありません。もちろん、技術や知識を学び続けることは大切です。

私自身も23年間、学びを続けています。ですが、リピートされない原因が、

  • 安心して過ごせる接客になっているか
  • 一人ひとりの状態を見ているか
  • その人に合わせて施術を組み立てているか
  • 施術の意図や体の状態を分かりやすく説明できているか
  • お客様自身の利用目的を理解できているか

という部分にあるのなら、新しい技術を一つ増やしただけでは解決しません。

私が23年間サロンを続ける中で大切だと感じてきたのは、技術や知識をたくさん持つことではなく、持っている技術や知識を「目の前のお客様のために使えること」です。

そのために必要なのが、

  • 体の状態を読み解く力
  • 一人ひとりに合わせて施術を組み立てる力
  • お客様が納得できるように説明する力

だと考えています。

BERILUのBODY SIGNメソッドも、この考え方から生まれました。
資格を取って開業することはゴールではありません。

開業したその先で、お客様から信頼され、

「次もお願いしたい」
「これからもここに通いたい」

と思っていただけるセラピストになること。その積み重ねが、10年、20年と続くサロンにつながっていくのだと、23年間の経験を通して感じています。

この記事を書いた人

西村 朱美

BERILU代表/一般社団法人JPMリンパ協会 代表理事

2003年より北九州市でサロンを運営。23年間のサロン経験をもとに、体の状態を読み解き、一人ひとりに合わせて施術を組み立てる「BODY SIGN」の考え方を伝えている。

セルフケア講座、企業・行政団体での健康講座、セラピスト育成など、これまで約600名への指導実績を持つ。