個人サロンの売上が上がらない原因|新しい技術やテクニックを重ねる前に見直したい3つの力

セラピストのためのサロン経営とリピート設計
  • 技術や知識は学んできたのに、なぜかお客様が続かない
  • 施術には喜んでもらえるけれど、サロンの売上がなかなか安定しない
  • 売上を伸ばすためには、もっと新しい技術を学んだ方がよいのだろうか

この記事は、このような悩みを抱えている一人サロンのセラピストさんに向けて書いています。

私自身、23年間サロンを続ける中で、技術の良し悪しだけでは、お客様のリピートにつながらないことを何度も経験してきました。

セラピストさんから受ける相談でも、

  • 「お客様には喜んでもらえるけれど、リピートにつながらない」
  • 「コースを購入してもらっても、途中から足が遠のいてしまう」
  • 「次回の来店を勧めると、売り込みのように思われそうで言えない」

といった悩みをよく耳にします。

このような悩みを抱える方の多くは、とても真面目です。
お客様に一生懸命向き合い、技術や体の知識もしっかり学んでいる、いわゆる「職人タイプ」のセラピストさんが少なくありません。

私自身も職人タイプです。

施術をすることや体について学ぶことは好きですが、「私は経営には向いていないのかもしれない」と悩んだことも何度もありました。

しかし、個人サロンの売上が上がらないからといって、必ずしも技術が足りないわけではありません。
新しい技術を増やす前に、今持っている技術や知識を、お客様のリピートにつなげるための力を見直す必要があります。

個人サロンの売上が安定しないのは、技術不足だけが原因ではない

個人サロンの売上を安定させるためには、新しいお客様に来てもらうことだけでなく、一度来店したお客様に継続して通っていただくことが重要です。

ところが、施術後にお客様から、

「気持ちよかったです」
「体が軽くなりました」
「楽になりました」

と言っていただけても、それだけで次回の来店につながるとは限りません。
お客様が施術に満足することと、継続して通う必要性を理解することは、別だからです。

お客様が次も来店するためには、

  • 「今の体がどのような状態なのか」
  • 「なぜこの悩みが起きているのか」
  • 「今回の施術で何が変わったのか」
  • 「今後どのようなケアが必要なのか」

を、お客様自身が理解し、納得できることが大切です。

そのために、職人タイプのセラピストが見直したいのが、次の3つの力です。

真面目な職人タイプのセラピストが、リピートで安定するための3つの力

1.お客様が納得できるように、継続する意味を説明する力

お客様に喜んでいただき、サロンへ継続して通ってもらうためには、定期的にケアを受ける意味を伝える必要があります。

よく耳にするのが、
「マッサージを受けているときは気持ちいいけれど、すぐに元に戻る」という言葉です。

お客様がサロンに来店する理由は、肩こり、むくみ、疲れ、冷え、体形の変化など、一人ひとり異なります。

しかし、どのような悩みであっても、何かしら「こうなりたい」という目的があります。
その目的に近づくためには、施術を行うだけでなく、

  • なぜ今の状態が起きているのか
  • 施術後に少し楽になったのはなぜか
  • なぜ時間がたつと元の状態に戻りやすいのか
  • 継続してケアすることで、どのような変化が期待できるのか

を、分かりやすく説明することが大切です。

ここで必要なのは、難しい専門用語をたくさん使うことではありません。
お客様が自分の体について理解し、「だから今の自分にはケアが必要なのだ」と納得できるように伝えることです。

継続する意味を理解できれば、次回予約は単なる営業ではなく、お客様の目的に必要な提案として受け取ってもらいやすくなります。

2.通う頻度や今後の見通しを伝え、不安を取り除く力

継続して通う必要性を伝えられても、お客様の中には次のような不安が残ることがあります。

  • 「どれくらいの頻度で通えばよいのだろう」
  • 「いつまで通い続ける必要があるのだろう」
  • 「ずっと同じ頻度で通わなければならないのだろうか」

ゴールや今後の見通しが分からない状態では、お客様は次回予約を負担に感じることがあります。

そのため、

  • 「最初のうちはこのくらいの頻度がおすすめです」
  • 「状態が落ち着いてきたら、少しずつ間隔を空けていきましょう」
  • 「その後は、状態を維持するためのメンテナンスとして考えていきましょう」

など、ある程度の目安を伝えることが大切です。

もちろん、体の状態や生活環境には個人差があるため、すべてのお客様に同じ回数や期間を当てはめる必要はありません。

大切なのは、お客様の状態や目的を見ながら、今後の道筋を一緒に考えることです。
ゴールの見えない提案ではなく、今の状態からどのように進んでいくのかを伝えることで、お客様は安心して継続を検討できるようになります。

3.お客様自身でできるプラスの情報を渡す力

お客様の悩みに役立つセルフケアや生活習慣が思い当たる場合は、自宅でできる方法も伝えましょう。

仮に次回予約につながらなかったとしても、お客様の目的に役立つ情報を持ち帰っていただくことで、セラピストへの信頼につながります。

セルフケアを伝えると、
「自宅でできるなら、サロンに来てもらえなくなるのではないか」と心配する方もいるかもしれません。

しかし、お客様自身でできることを丁寧に伝える姿勢は、

「売上のためだけに通うことを勧めているのではない」
「本当に自分の体のことを考えてくれている」

という安心感につながります。

また、サロンで施術を受けるだけで、普段の姿勢や生活習慣がそのままでは、よい状態を保つことが難しい場合もあります。

サロンでの施術と自宅でのケアを組み合わせることで、お客様自身が体の変化を感じやすくなります。

その結果、

「教えてもらったことを続けたら、前より楽になった」
「自分でも体を整えられるようになった」

という実感が生まれ、セラピストへの信頼も深まります。

  • 継続する意味を説明する。
  • 今後の見通しを伝えて不安を取り除く。
  • 自宅でできるケアを渡す。

この3つを行うことで、次回予約の提案は売り込みではなく、お客様の目的を実現するためのサポートになります。

実際のセラピストさんが取り組んだこと

ここで、BERILUのスクールを受講したAさんの事例をご紹介します。

Aさんは30代のセラピストで、以前は美容部員として働いていた経験があり、美容や体に関する知識を豊富に持っていました。

技術も数多く学んでおり、施術そのものには自信を持っていました。
しかし、お客様から体について相談を受けたときに、うまく説明できないことに悩んでいました。
知識は持っていても、それを専門用語を使わずに、お客様が理解できる言葉へ置き換えることが難しかったのです。

そこでAさんは、BERILUの「BODY SIGN入門講座」を受講しました。

BODY SIGN入門講座では、お客様の悩みを聞いたうえで、体の状態を読み取り、悩みの背景に何があるのかを考える視点を学びます。

受講前のAさんは、お客様が気になると話した部位を中心に、長めにマッサージする施術を行っていました。
もちろん、悩みのある部位を施術すること自体が間違いというわけではありません。

しかし、お客様が訴えている場所だけを見るのではなく、

  • 「なぜその場所に負担がかかっているのか」
  • 「ほかの部位や生活習慣が関係していないか」
  • 「どのような順番で施術を組み立てるとよいか」

という視点を持つことで、施術の考え方が変わります。

受講後のAさんは、お客様の体の状態について、以前よりも分かりやすく説明できるようになりました。

施術の理由や今後のケアについて伝えられるようになったことで、お客様からさらに喜ばれ、継続して来店していただけることも増えたそうです。

この変化は、新しい手技を一つ増やしたから起きたわけではありません。
すでに持っていた知識や技術を、お客様に合わせて選び、説明できるようになったことで生まれた変化です。

職人タイプのセラピストに本当に必要なこと

職人タイプのセラピストさんに共通しているのは、技術や知識をしっかり学んでいることです。

お客様に喜んでもらうことや、施術そのものにやりがいを感じているため、サロンの売上が伸びないと、

「まだ技術が足りないのではないか」
「もっと新しい施術を学ばなければならないのではないか」

と考えやすい傾向があります。

しかし、新しい技術を増やすことだけが、リピートや売上の安定につながるわけではありません。

まず見直したいのは、今持っている技術や知識を、

  • お客様の状態に合わせて選ぶ
  • 施術を行う理由を説明する
  • 今後の見通しを伝える
  • お客様自身ができるケアにつなげる

という形で活かせているかどうかです。

個人サロンの強みは、一人ひとりのお客様に丁寧に向き合えることです。

その強みをリピートにつなげるために必要なのは、無理な物販や高額コースを勧める営業力ではありません。
お客様の体を読み解き、必要な施術を組み立て、その理由を分かりやすく伝える力です。

技術を学んできたのに売上が上がらないと感じている方は、新しい技術を探す前に、

  • 「私は、お客様が納得できる説明をできているだろうか」
  • 「お客様が安心できる今後の見通しを伝えているだろうか」
  • 「今ある知識や技術を、お客様に合わせて活かせているだろうか」

と、一度振り返ってみてください。

必要なのは難しい『経営学』ではなく、目の前のお客様に合わせた『伝える力』です。すでに持っている技術や知識の活かし方や視点を変えること、お客様に分かる言葉で丁寧に伝えることが喜ばれてリピートされるサロンづくりへの第一歩になるかもしれません。

この記事を書いた人

西村 朱美

BERILU代表/一般社団法人JPMリンパ協会 代表理事

2003年より北九州市でサロンを運営。23年間のサロン経験をもとに、体の状態を読み解き、一人ひとりに合わせて施術を組み立てる「BODY SIGN」の考え方を伝えている。

セルフケア講座、企業・行政団体での健康講座、セラピスト育成など、これまで約600名への指導実績を持つ。