セラピストとして長く活動していると、
脳疾患や寝たきりの状態など、体を自由に動かすことができないご家族をお持ちの方から、
「リンパマッサージで浮腫は改善できますか?」
と相談を受けることがあります。
このような相談に対して、
躊躇なく施術を行うことには、実は大きなリスクが伴うことがあります。
本記事では、
JPMリンパ協会の教育視点から、
疾患を持つ方に対して施術を行う前に、セラピストが必ず持っておくべき視点についてお話します。
セラピストとして、施術の前に立ち止まって考えるべきこと
疾患をお持ちの方に限らず、リンパケアを行う際にまず理解しておきたいのは
リンパを流す=体液循環が大きく変化する
ということです。
リンパケアは、
皮膚の表面にあるリンパ管に働きかける非常にやさしい施術と考えられがちですが、
適切に施術が行われると、
・リンパ液
・間質液
・静脈血
といった体液循環が促進されます。
流れたリンパ液は、最終的に鎖骨下にある静脈角へと流入し、血液循環へ戻ります。
つまり、リンパケアは体内の循環量そのものを変化させる可能性がある施術でもあるのです。
そのため、もしも
・心臓機能
・腎機能
・血管の状態
に問題がある場合、
急激な循環の変化が体への負担になる可能性もあります。
いつも同じ施術を行うことの危険性
リンパケアには多くのメリットがあります。
・体液循環の改善
・免疫機能のサポート
・自律神経の調整
・浮腫の軽減
しかし同時に、循環が良くなりすぎることで負担になる人がいるという事実も、セラピストは理解しておく必要があります。
大切なのは、
- 相手はどのような状態なのか
- なぜその状態になっているのか
- 施術によって体内でどんな変化が起きるのか
これらを想像し、判断する「見立て力」です。
セラピストの価値は「技術」だけではなく、
触ってよい人と、触るべきではない人を見極める判断力にもあります。
リンパケアで起こる可能性のある体の変化
リンパケアを行うことで、体にはさまざまな変化が起こります。
① 体液循環の改善
リンパ流や静脈還流が促進されることで
・末梢の浮腫軽減
・尿量の増加
などが見られることがあります。
これは体内の余分な水分が循環へ戻り、排泄へ向かうためです。
② 自律神経系への影響
皮膚への触刺激は、
・副交感神経優位
・末梢血管拡張
・血流改善
などの変化を引き起こすことがあります。
その結果
・皮膚温の上昇
・顔色の改善
などが見られることもあります。
また、循環の改善は皮膚のターンオーバーを整え、
皮膚本来が持つ免疫機能の維持にも関わると考えられています。
寝たきりの方に対するリンパケアの可能性
寝たきりの状態では、
・筋肉の萎縮
・関節の拘縮
・末梢循環の低下
などが起こりやすくなります。
適切なケアを行うことで
・浮腫の予防
・循環サポート
・自律神経の安定
・生活の質(QOL)の向上
などにつながる可能性があります。
また、軽い触刺激や可動域を意識したケアは、
四肢のこわばりの軽減や、
皮膚状態の維持にも役立つ場合があります。
大きな可能性があるからこそ、リスクも理解する
リンパケアには、
- 健康維持
- 予防
- 生活の質の向上
といった大きな可能性があります。
しかしその一方で、体液循環に影響する施術である以上、リスクも存在します。
セラピストとして大切なのは、
技術に自信を持つことではなく、自分の技術に慢心しないことです。
必要な場合には
・施術を行わない判断
・医療機関での相談を勧める判断
も含めて、
相手の体にとって最も安全な選択を考えることが、
プロフェッショナルとしての責任だと言えるでしょう。
リンパケアを行う前に確認したいポイント
リンパケアには大きな可能性があると同時に、リスクのある体には負担となる場合があります。
そのため、リンパマッサージの禁忌事項を理解し、
施術を行う前に、カウンセリングの中で確認を行うようにしましょう。
リンパマッサージ禁忌事項
- 心不全
- 腎不全
- 感染症
- 深部静脈血栓
- 発熱
BERILUが大切にしているセラピスト教育
BERILUでは、
単に技術を学ぶだけではなく、
・体のサインを読み取る力
・症状の背景を理解する視点
・施術の必要性を判断する力
を身につけることを大切にしています。
表面的な症状だけを見るのではなく、
「なぜその状態になっているのか」
という根本の視点から体を理解し、
相手にとって
必要な施術
不必要な施術
を見極められるセラピストの育成を目指しています。
▶ スクールBERILUのコンセプト
JPMリンパ協会とBERILUでは、
リンパケアの可能性と同時に、その責任についても学びながら、より安全で信頼されるセラピスト教育を行っています。
▶ JPMリンパ協会について


